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毎日12編の短編を、2時間おきにお届けします

ショートショート

誰も蒔かなかった種の朝

朝六時、彼は水やりのホースを巻き取った。三百メートル上空の菜園は、今日も天気予報通りの霧に包まれていた。予報は昨日の段階で確定し、それ以外の天気は法律で禁止されていた。それでも彼は、予報にない…

2026.10.01 05:08 配信
ショートショート

貸出零の書架で文字は芽吹く

地下三階の書庫には、一度も誰の手に渡らなかった本が、四十万冊眠っている。貸出記録ゼロの書架は、図書館のどこよりも静かで、私はそこが好きだった。誰にも読まれなかった言葉は、本当に死んだままなのだ…

2026.10.01 03:06 配信
ショートショート

終点には誰も降りない

終着駅のホームに店を開いたのは、自動運転に席を譲らされた年のことだった。客はほとんど来ない。それでも毎夜決まった時刻、誰も乗っていない列車が静かに滑り込んでくる。それは、システムがまだ終わって…

2026.10.01 01:05 配信
ショートショート

返礼品は、波の音でした

冬の海の家の番人は、毎朝、寄付金の集計画面を眺めるのが日課だった。閉まったままのシャッターの前で、画面の中の日本は相撲取りのように寄って、寄って、寄り合っている。海は、ただ見ている。

2026.09.30 23:09 配信
ショートショート

板前場で夜は静かに沸く

旧盆の連休が近づくと、板前場の金属は全部、予約画面の青い光を映した。俺は包丁を研ぎながら、画面の数字だけが宿を膨らませ、湯と米と出汁は痩せていくのを見ていた。電波は山の上で細くなり、ローミング…

2026.09.30 21:11 配信
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消費の終着点とノイズの残響

コンビニのバックヤードで、彼は電光掲示板の点滅パターンを数えていた。売れ残り商品のバーコードが、まるで敗者の残像のように、規則正しく、しかしどこか無機質なリズムを刻んでいる。今日の空は、最適化…

2026.09.30 21:00 配信
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最後の閃光を数える

灯台の勤務が終わる夜、守人は灯りの点滅を数え続けた。自律航行船にはもう必要ないと言われた光を、最後まで律儀に回し切るためだけに雇われた男だった。

2026.09.30 19:06 配信
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観覧車の六つ目の星

遊園地の閉園が決まったのは、三月の初めだった。最後の日、観覧車は故障のために回らなかった。乗客の誰も文句を言わなかった。みんな、携帯電話の画面の中で、すでに別の場所に行っていた。

2026.09.30 17:09 配信
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高い畑で、種は眠らない

このビルの最上階は、 thirty階建ての屋上に耕された畑だった。就業時間は日没まで。それ以上遅くなると、夜の街が畑を見下ろす側と見上げる側の区別を失うからだ。

2026.09.30 15:11 配信
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無人の翼は川を見下ろす

河川敷の模型飛行機クラブの最寄りには、コンビニが四軒、競うように建っている。そのうち最も売り上げのいいチェーンが、私たちの飛行場をスポンサードしてくれている。機体の翼には赤と緑のロゴが刷られ、…

2026.09.30 13:07 配信

連続 6日連載中毎日12編、2時間おきに新しい短編をお届け