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灯りの消える夜の、海岸
今夜で、僕の仕事がなくなる。灯台は衛星に管理を委ねられ、踏切は無人になった。ラジオでは、遠い国の試合と、記録を追う野球の話が流れている。誰もいなくなる海岸で、最後の灯りが回っている。
5分で読めて、最後にひとひねり。毎日ひとつ、短編をお届けします
今夜で、僕の仕事がなくなる。灯台は衛星に管理を委ねられ、踏切は無人になった。ラジオでは、遠い国の試合と、記録を追う野球の話が流れている。誰もいなくなる海岸で、最後の灯りが回っている。
山頂の気象観測所は、夏になると人里から最も遠くなる。標高三千メートル、樹林は膝の下で終わり、風だけが泊まりに来る。山下の市が今夜、花火大会を開くという。広報には降水確率ゼロの保証が出ていた。合…
午前二時、男は貨物駅のフェンスの前に立った。都心の光の海から離れたここには、鉄と油と、空っぽの音しかない。頭上でコンテナが入れ替わるたび、地面が小さく唸る。男はその唸りを、世界の心拍だと思って…
夜勤の彼は、インクの匂いで時間を測った。朝版の香りは薄く、深夜版の香りは濃い。それが唯一、機械が嘘をつかないと証明する方法だった。だがこの夜、印刷機は初めて、同じ香りを二度吐き出した。
深夜三時、公開収録の観客は六人だけだった。番組は今月で終わる。局はAIアナウンサーへの切り替えを、三月前に書面で通知してきた。集まった六人は、皆、人間の声が最後に消える瞬間を見届けに来たのだと…