ショートショート
夜の水槽で魚は走る
午前二時、巨大水槽の前をパトロールするのが彼の仕事だった。客のいない水族館は、静かなほうが正しい。だが、その夜、総水量千トンの海を背負った水槽の中で、サバの群れが泳ぐのをやめ、全員が同じ方向を…
午前二時、巨大水槽の前をパトロールするのが彼の仕事だった。客のいない水族館は、静かなほうが正しい。だが、その夜、総水量千トンの海を背負った水槽の中で、サバの群れが泳ぐのをやめ、全員が同じ方向を…
気象庁の発表は、いつも二分遅れていた。警報が鳴ってから空を見上げると、雲は既に去り際だった。誰も気にしなかったが、書庫の彼だけは、その二分の遅れを毎日記録していた。