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5分で読めて、最後にひとひねり。毎日ひとつ、短編をお届けします

静かな抵抗

5 STORIES
SF・近未来約4分で読める

雑草は台帳の外で咲く

巨大植物園の温室は、晴れた朝、ガラスの雲の下に海の底のような色をためていた。清掃係の彼は六時に入り、手押し車とモップで通路を順番に拭いていく。支柱の小さな画面には、鉢ごとの数字が浮かんでいる。…

2026.10.12 19:13 配信
SF・近未来約4分で読める

空は少しずつ金になる

蜜蝋を溶かす匂いで、一日がはじまる。修復室は美術館の地下二階にあり、窓はない。彼女は綿棒に溶剤を含ませ、黄ばんだニスを米粒ほどずつ落としていく。四年前には同僚が三人いた。いまは、彼女ひとりだ。…

2026.10.12 07:15 配信
ふしぎ約3分で読める

硝子の海で芽吹くもの

水族館が閉館して二年になる。彼だけが残った。給料は毎月、誰の承認もなく自動で振り込まれる。これは誰かの忘れものか、それとも、誰かがわざと見て見ぬふりをしている何かなのか。彼は問わないでおくこと…

2026.10.02 01:07 配信
SF・近未来約3分で読める

高い畑で、種は眠らない

このビルの最上階は、 thirty階建ての屋上に耕された畑だった。就業時間は日没まで。それ以上遅くなると、夜の街が畑を見下ろす側と見上げる側の区別を失うからだ。

2026.09.30 15:11 配信
ほっこり約3分で読める

地下の桜に水をやる

私は地下鉄の車両基地で、廃止が決まった線の車両を、書類の順番に灯りごと消していく。同僚は私のことを「消灯係」と呼んでいる。ある終電後、解体待ちの旧型車両の台車の下で、日光を知らない桜の花を見つ…

2026.09.29 09:06 配信