活気あふれる朝の美容院。
「ビューティサロン・エタニティ」では、今日も朝からシャンプーの泡が飛び、ドライヤーの熱気が渦巻いていた。
ベテラン美容師のKは、今日も手際よく客の髪を切りそろえていた。
その隣で、アシスタントのAは、慣れた手つきでシャンプーを済ませ、次の客を案内する。
Kは今日の予約を確認するため、壁のボードに目をやった。
「A、今日の午後の予約、確認してくれるか?」
Aは振り返り、鋭い視線をKに向けた。
「Kさん、昨日の指示を忘れましたか? 午後の予約は私が直接管理しています。あなたは今日の午前中の客に集中してください」
Kは一瞬、戸惑った表情を見せた。
だが、すぐに「はい、承知いたしました」と、恭しく頭を下げた。
客は誰もそのやりとりに気づかない。気づいていたとしても、活気あるサロンの日常の一部として処理されるだろう。
数時間後、休憩時間になった。
Kはカウンターの隅で、缶コーヒーを片手にスマートフォンをいじっている。
Aは事務所のドアを開け、Kに手招きした。
「Kさん、少々お時間よろしいですか? 来月のシフトについて、あなたの意見を聞きたいのです」
Kは慌てて立ち上がり、事務所へ向かった。
その足取りは、まるで新人のように軽やかだった。
別の客がシャンプー台に座り、目を閉じた。
担当は、まだ入社半年のC氏だった。
C氏は慣れない手つきでタオルを巻き、こう言った。
「お客様、今日はどのコースになさいますか? 全ての判断は、私に委ねていただきます」
客は答えることなく、ただ目を閉じていた。
サロンの壁には、新たに掲げられた標語が光っていた。
「変化こそが、美しさの源」
やがて、客は微かな泡の音と、かすかに聞こえるKの声を聞いた。
それは、「はい、かしこまりました」という、いつもの返答だった。
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