夕暮れが迫る中。
ヒロシ、ケンタ、アキラ、ミユキの四人は、廃病院の前に立っていた。
錆びた鉄扉が風に揺れ、不気味な音を立てる。
「おい、本当にここに入るのか?」
ケンタが震える声で言った。
「ビビってんのか、ケンタ。今さら引き返せるかよ。」
ヒロシが懐中電灯を点け、中へ促す。
アキラは無言で一番奥を照らし、ミユキは怯えながらその後ろに続いた。
院内はひどい埃とカビの匂いが充満していた。
廊下の壁は剥がれ落ち、窓ガラスは割れている。
足元にはガラスの破片が散らばっていた。
古びた診察室を通り過ぎ、病室が並ぶフロアへ。
ミユキが、ある病室の壁に目を留めた。
壁には、かすれた文字で日付が書かれていた。
「1975年10月26日 死亡」
ミユキは息を呑んだ。
「これ……今日の日付と全く同じだよ?」
その言葉に、三人も凍り付く。
アキラは冷静を装い、別の病室を覗いた。
そこは手術室のようだった。
錆びた手術台の横に、妙に新しい血の染みがある。
「まさか……」
アキラの声が震えた。
その時、ケンタが突然叫び声を上げた。
「誰かいる!今、向こうの廊下を誰か通った!」
しかし、ヒロシが光を向けるも、そこに人影はなかった。
四人の恐怖は頂点に達した。
「もう出よう!帰ろう!」
ミユキが泣きそうな声で訴える。
彼らは急いで来た道を戻ろうとした。
だが、先ほど入ってきたはずの扉は、いつの間にか壁と化していた。
焦燥感が彼らを襲う。
「そんな、まさか…」
ヒロシが壁を叩くが、びくともしない。
彼らはパニックになりながら、病院の奥へと進んでいくしかない状況に陥った。
突き当りの広い部屋は、かつて食堂だったようだ。
埃をかぶったテーブルと椅子が並んでいる。
そのテーブルの一つに、何か物体が置いてあるのが見えた。
それは、古びた雑誌だった。
表紙には「月刊病院通信 最新号」とある。
しかし、その下の日付は「1975年10月26日」。
ミユキが見た壁の日付、そして今日の日付と全く同じだった。
そして、彼らはその雑誌の特集ページを開いた。
そこには、見覚えのある四人の顔写真が掲載されていた。
「〇〇病院、最後の四患者」という見出しと共に。
彼らは、永遠にこの病院を訪れ続ける「来院者」だった。
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